「イ○ーヨーカドーに行くしかないのか」
近所に住む会社員kさんは、パソコンで情報を検索しながら、そうつぶやいた。
大型スーパーはもちろんコンビニや百貨店も探し歩いたにもかかわらず、目的のものはまだ手に入っていなかったのだ。
しかし、この名古屋市内にイ○ーヨーカドーはひとつしかなく、それはあまりにも遠すぎた。
中○競馬場に行くついでに、ということも考えないではなかったが、おいそれと競馬場に行くわけには行かなかった。彼は競馬が好きではあったが、今年の馬券のための資金はすべてある一頭の牝馬に集中して投下すると決めていたのだ。その牝馬の名を私は残念ながら知らないが。
さて、そうするとあとは、三郷か小牧か。
kさんは時刻表を検索すると、目的地を小牧と決め、さっそく電車に乗り込んだ。この時点でkさんは昼ごはんを食べるのをすっかり忘れているのだが、気が急いているために気付かない。
そうこうしているうちに、kさんは小牧のイ○ーヨーカドーに到着した。
カゴをひとつぶらさげ、カレーとふりかけのコーナーに直行するkさん。このふたつはだいたい近いところにあるので便利なのだ。何店ものスーパーを探し回っただけに、kさんはそういうことに詳しくなっていた。
そして、息せき切ってまずはふりかけ売場にたどりついたkさん、ついにそこに目的のものを見つけた。
歓喜に顔を紅潮させつつ、それをだいじにかごの中に入れると、すぐにカレー売場に移動する。もちろん、そこにも目的のものはあった。
kさんの長い旅は、ここにようやく終わったのだ。
しかし、kさんの旅はこれだけで終わるわけではない。もうすぐ、コンビニにある商品が並び始めることだろう。そうなるとまた、kさんの長い旅路がはじまるのだ。