レビュー行きまーす! ネタバレしまくりますので、未見の方は注意してください。
独断レビュー(1)
まずは冒頭。真っ暗な映画館の中に、目覚まし時計のアラームが鳴り響きます。
映画の冒頭というものは、いかにして映画の中という非日常空間に見る人を放り込むか、という点が重要です。前作雪空のともだちの場合、タマゴが落ちていくまでの部分がそれに当たると思います。
今回、それをわずか数秒で済ませてしまいました。秀逸です。でも、DVDでこの映画を初めて見る人に、この一瞬の見事さが伝わるかどうか。
この映画は「時計」が重要なモチーフになっています。目覚まし時計が鳴っているのにそれを床に落としてしまう。冒頭から象徴的なシーンです。大袈裟にいえば、咲は時計を攻撃している。すなわち、この時点で咲は時間の敵になってしまっているのです。
時間を敵に回してしまった以上、その後は自明。ちなみに目覚ましは8時になっていました。
そのまま寝続ける咲から、いきなり場面は公園の大時計に切り替わります。大時計の下には舞。時計の下に佇んでいるというところがポイント。咲は小さい時計を吹っ飛ばし、舞は大きい時計の下にいる。舞は、時計を、そして時間を守っているのです。
大時計は9時6分を指しています。おそらく咲との待ち合わせ時間は9時。舞は所定時間より早くこの場に来ていたでしょう。すでに10分はここにいたはずです。困ったように、でも、しょうがないなぁ、という表情と声。このあたりのバランスも絶妙です。
そして、「まだ寝てるかも」というチョッピに、「まさか」と笑って答える舞。これは、次のオチにつながるセリフであると同時に、舞が、咲を自分の物差しで測ってしまっているという、これから始まるはじまるふたりの微妙なすれ違いのひとつのあらわれでもあります。
画面はすぐに咲が寝こけている場面に切り替わります。これは、さきほどのチョッピと舞の会話のオチになります。イビキまでかいて寝ている咲。ここは、素直に笑うところ。ちなみに目覚まし時計は床に落ちたままです。
先に起きるのはフラッピ。咲の上に飛び乗って、叩き起こします。そういえば、フラッピは時計を見ていません。コミューンの機能で時間がわかるのでしょうか? だったらもっと早く起きろってば。
フラッピは、舞とチョッピが待ってる、と言います。舞だけではなくちゃんとチョッピの名前も出すあたり、フラッピらしいです。
床に落ちている目覚まし時計を見つけて、咲は時間に気付きます。10時10分。待ち合わせ時間から、実に70分もたっています。
さすがにヤバイと気づいて大声で叫ぶ咲。
「うわぁーーーーー!」で画面は日向家から空へ。これにてオープニング前の、いわゆるアバンタイトルが終了です。DVDだと18あるチャプターのうちの1番目の終了。
当然、まだまだ続きます。