どききゅあブログ

食べたものとか乗ったものとか、いろいろな日記です。

吉牛最後の日

おまえは牛丼しか食ってないのかと言われそうですが。
今から1年前の牛丼終了フィーバーのただ中。あの日の思い出をもう一度。

最後の並 2004年2月11日

当然のようにお昼ご飯は吉野家に直行する私。悔いを残さないよう、吉野家で牛丼を食べよう。それ以外の選択肢は考えもしません。残念ながら最初に行った店には「牛丼終わりました」という貼り紙が。もう終わったのかと思いつつ、別の店へ。このあたりにはなんと吉野家が三軒もあるんですよ。次の店では貼り紙がないので、中に入って聞いてみます。
「牛丼、あります?」
店内の雰囲気は明らかにいつもと違いますが、カウンターのお客さんはみんな黙々と牛丼を食べています。だいじょうぶそうです。
「まだ大丈夫ですよ」
おお! 牛丼神は私を見捨ててなかった!(牛丼神ってなんやねん)
「じゃあ、並を」
そう言いながら席に座った私の前に、すぐに牛丼が出てきました。すごい肉の量です。たまねぎなんてほとんどありません。これが「並」? 最後だからってヤケになってるのでしょうか?(笑)
文句なしに美味い牛丼をゆっくり味わいながら食べていると、隣に座った人が「並」と注文してます。
ここまではありふれた風景だったのです。もう、長い間吉野家で繰り返されてきた、ごくごく当たり前の風景、それが次の瞬間、崩れ去っていくのです。
店員さん、奥で確認してから戻ってきました。
「今、お持ち帰りが6つ入ってて、出せるかどうかわからないんですよ。待っててもらえます?」
そういえば、私の後に入ってきたお客さんが牛丼弁当を注文してました。その人が持ち帰る分を作ってるんですね。そして、それでほとんど鍋の中身は底をついてしまうと。
店内の緊張が一気に高まりました。牛丼をかきこむみんなの手が止まりました。息が止まって人もいたかもしれません。不気味な静寂。
つ、ついにこの時が!
牛丼が終わる瞬間が!
まさか自分が店の中にいる時に、その瞬間が来ようとは!
私も緊張していましたが、私の隣の人は私以上に緊張しながら待ってます。だって、私たちは自分の分をすでに確保していますが、その人は食べられるかどうかわからないんですもん。
昼前なのでその後も新しいお客さんが次々と入ってくるのですが、「すみません。牛丼終わってしまったんです」という店員さんの言葉で全員回れ右。誰一人として他のものを食べようという人はいません。
並牛丼をゆっくりと食べながら、ちらちらと奥を見ていると、ついにどんぶりがひとつ出てきました。
そして私の隣の人の前にそれを置くと、店員さん、こう言ったのです。
「最後の並になります」
最後の並! 最後の並ですよお客さん! どよめく店内。
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !